最首塾のおしらせ

最首塾関連の最新情報のお知らせをします。最首塾は最首悟さんを囲んで原則月一度開かれる勉強会です。

宮地尚子さん新刊『震災トラウマと復興ストレス』のお知らせ

以前(2004年2月)、最首塾でお話しいただきました宮地尚子さんの新刊『震災トラウマと復興ストレス』(岩波ブックレット、2011年8月)についてお知らせです。
 
この本は、宮地さんのこれまでの単著『トラウマの医療人類学』『環状島=トラウマの地政学』(いずれも、みすず書房)で提示されたモデルを下敷きにしながら、まさに書名の問題について一つ一つ「言葉化」されたものです。
 
525円という値段も文量に反して安いですが、本自体も薄くなるよう工夫されており、椅子に座ってじっくり読みふけれない人でも、移動中読めるように、と配慮されているのではないか、ということを思いました。
 
僕自身、7月に福島に行きましたが、その時の上手く言い表せないことが「環状島」モデルを通して、少し振り返ることが出来ました。
 
被災地に行こう、行ってきたという方には、特にお勧めできるように思います。
ズボンのポケットにでも入れて持ち歩くのにちょうど良い本です。
 
久しぶりに本の紹介を書いてしまいました。
よろしければ是非書店でお手にとってご覧ください。
 
それではどうか良い週末をお迎えください。
 
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宮地尚子さん新刊『震災トラウマと復興ストレス』のお知らせ
 
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■体裁=A5判・並製・64頁
■定価 525円(本体 500円 + 税5%)
■2011年8月10日
■ISBN978-4-00-270815-7 C0336 
 
未曽有の災害が刻んだ心の傷(トラウマ)は,時とともに思わぬストレスや人間関係のトラブルとして表れる.なぜ生き延びた被災者が罪の意識に苦しみ,支援者が燃え尽き,遠くにいる人までが無力感にとらわれるのか.震災のトラウマが及ぼす複雑な影響を理解し,向き合い,支え合うための一冊.
 
 
【著者からのメッセージ】
 
東日本大震災は多くのトラウマ(心の傷)をもたらしました.「心のケア」の必要性についても,すでに多くの人が指摘しています.けれど,震災からの復興がもたらす傷つきについては,あまり気づかれていないように思います.復興はよいもの,望ましいものと思われがちだからです.
 
トラウマというと,一瞬の悲惨な出来事が想像されやすいのですが,実は後々にまで長く,社会的にも幅広い影響を及ぼすものです.その影響は個人レベルを超えて,周囲の人間関係や社会に広がっていきます.
 
(中略)
 
本書のタイトルを『震災トラウマと復興ストレス』としたのも,震災のトラウマをこのように長期的かつ複雑な流れとして理解することが,共感を維持し,支援を継続するためにも重要だと思うからです.
 
この本は,被災地の方々に向けてというよりも,外部から支援やボランティアに携わる人たち,復興構想や政策に関わる人たち,遠くで何もできないけれど,被災者に寄り添って,深くものごとを考えたいと思っている人たちに向けて書いています.もちろん被災者の方々にとっても意味のあるものにしたいと思っています.
 
ひとりひとりがトラウマへの理解を深め,ストレスやトラブルと冷静に向き合い,未来を豊かなものにしていくために,本書が役立つことを願います.
 
(「はじめに」より)
 
【目次】
 
はじめに

1章 震災とトラウマ――<環状島>を描く

2章 被災者の位置――<内斜面>

3章 支援者の位置――<外斜面>

4章 被災地から遠い人たちの位置

5章 復興とストレス

あとがき