上告への抗議ならびに熊本県への要求
熊本県知事 蒲島 郁夫 様
1、
福岡高裁で私たちが勝訴した溝口訴訟について、3月7日、知事は上告することを決定しました。私たちは、まずこの知事の決定に強く抗議します。
知事は、判決が「認定制度の根幹にかかわる問題を含む」ことを上告の理由としています。しかし、高裁判決は、認定基準の不十分さや運用の不適切さについて常識的な判断をしただけです。上告の決定は、法務省や環境省の顔色をうかがった判断です。熊本県民の生命と健康を守り、水俣病被害者の権利を擁護すべき首長にふさわしくないもので、私たちはとうてい容認できません。
今からでも遅くない。ただちに上告を取り下げ、高裁判決に従っていただきたい。
2、
高裁判決後の村田副知事との交渉では、未検診死亡者が462名存在し、うち421名が棄却されていたことも明らかになりました。このことは、溝口訴訟で争われたのと似た状況で水俣病を否定された人々が、驚くべき数に上っていたことを示しています。
9日の記者会見で、細野環境大臣は、「過去において運用の仕方として、反省すべきところがないかどうか不断の見直しは必要だ」と述べています。この言葉を熊本県は真剣に受け止めるべきです。私たちはまず462名について、熊本県がその処分を見直し、なぜ認定と棄却に分かれたのか、棄却された人たちも溝口訴訟基準で見直せば認定の可能性があるのではないか、きちんと検証することを求めます。
3、
さらに現在も認定申請者がいるのですから、認定条件を洗い直し、法の精神にふさわしい運用がなされるよう、ただちに被害者を含めた話し合いの場を設定するよう求めます。
平成24(2012)年3月14日
溝口 秋生
溝口訴訟を支える会